F1五輪観戦記

F1を中心に、五輪なども取り上げるスポーツ観戦記です

モナコGP史上屈指の予選——フェルスタッペン気迫の0.084秒差ポール

イン側ギリギリを走る気迫のアタックでポールを獲得したフェルスタッペン

抜きどころのないモナコは毎回予選が激戦となるが、今年のようにフェルスタッペン、アロンソ、オコン、ルクレールの4人がQ3でポールを奪い合い、最終アタックでフェルスタッペンが0.084秒の僅差でアロンソを上回る劇的な展開は、私には記憶にない。近年のF1で屈指の、そしてモナコGP史上でみても最高の予選だったのではないか、と感じる。

1位フェルスタッペンが1分11秒365、2位アロンソが1分11秒449(0.084秒差)、3位ルクレールは1分11秒471(0.106秒差)。いかに僅差だったかは以下の図を見るとわかる。3人がミニセクターのベストタイムを塗り替えながらタイムを刻んだことが見て取れる。

(※ただし、ルクレールは予選中の走行妨害により3グリッド降格となってしまった)

3者が拮抗した予選だが、第3セクターのプール出口(15、16コーナー)以降はすべて青で塗りつぶされており、フェルスタッペンの第3セクターが逆転ポールの原動力となったことがわかる。彼はプール出口でタイヤをウォールに擦り付けながら駆け抜け、最終コーナー明けでも右側のウォールにぶつけながらホームストレートを立ち上がっていった。

プール出口やアントニー・ノース(19コーナー)でタイヤが擦るのは何度も見たことはあるが、ストレート前のウォールにぶつけてまで最短ラインをを極める走りは記憶にない。

ピットウォールのあの部分はコンクリートではないだろうか? ガードレールならわずかに”しなり”はあるが、コンクリートではちょっとの接触でも一発アウトになりかねないが。。。

この気迫が0.084秒のタイム差に表れたフェルスタッペンのポールだった。

モナコのホームストレート。右下に見えるとおり、内側はコンクリート壁のはずだが。。

Q3の大半を支配していたのはアロンソで、1回目のアタック終了時点で暫定2位のフェルスタッペンをコンマ4秒、2回目終了時点で同じく暫定2位のルクレールを100分の2秒上回った。一時はアロンソ9年ぶりのポール獲得、2012年モナコシューマッハのような大ベテランによる予選最速ラップも期待したが、フェルスタッペンの渾身の3度目アタックにより阻まれた。

健闘をたたえるアロンソ(左)とフェルスタッペン

戦力の劣るアルピーヌで一時はQ3トップタイムを奪ったオコン、Q1で2番手となりQ3でも9位に入った角田、予選全体を通して不安定なマシンと格闘したハミルトン、など、随所で見どころがあった。

唯一残念だったのが、Q1初っぱなのペレスのクラッシュ。明日の天候にもよるが、ポイントを獲得できるか否かの苦しいレースを強いられることになった。オーストラリアに続く予選Q1早々のクラッシュは後味が悪い。市街地が得意なペレスにとって、モナコは数少ない「フェルスタッペンに対抗できるサーキット」だっただけに、このクラッシュは王座争いの意味でも痛い。

予選Q1早々でペレスはクラッシュしてしまった

予選の盛り上げには、今年からF1直轄となった映像も一役買ったと思える。従来よりもカメラ台数が増え、目線が低めで、コースと近距離のアングルが増えた。壁際を駆け抜けるマシンの迫力が増したと思う。

一時はグランプリ消滅の危機にさらされたが、やっぱりモナコは格別だ。 いくら追い抜きが難しかろうが、この地中海の紺碧の海に真っ白なクルーザー、美しい街並みはモナコならでは。これだけ熾烈な予選もあるなら、モナコを見るのはやめられない。

明日の天候は不安定とのことだが、レース開始を楽しみに待ちたい。

さわやかな晴天となったモナコGPの予選日