F1五輪観戦記

F1を中心に、五輪なども取り上げるスポーツ観戦記です

コラム

交錯するモンツァの記憶と、「第2のセナ」への想いを馳せて

1988年のセナ。マシンはマクラーレン・ホンダMP4/4 イタリアGPの観戦記で、『フェルスタッペンの6周目1コーナーの接触回避に、彼のこの2年間の成熟をみた』と書いた。その記事を読み返したとき、2021年のクラッシュに加えて、モンツァの1コーナーにはもう1つ…

アイルトン・セナの略歴

最速を求める姿勢と端正なルックスから、「F1史上で最もファンを魅了した」と評されるレーシングドライバー。1980年代から90年代半ばまで、自動車レース最高峰の舞台で活躍した。3度のF1ワールドチャンピオンに輝いたものの、レース中の事故により34歳の若さ…

「学べる期間」が短すぎたルクレールの悲劇

物憂げな表情を浮かべるルクレール。この表情が最高に絵になることもまた、彼の悲劇である フェラーリ5年目となるルクレールが苦闘している。私は、ルクレールにとって不幸なのは『学べる環境』に身を置くのが短すぎたことだ、と考えている。 ◇ ◇ (この記事…

まさに「2002年型」となった23シーズン前半戦

チームメイト対決でターニングポイントとなったマイアミGP 2023年F1前半戦の振り返りだが、開幕戦で感じた印象がすべてだった、という気がする。ペレスも奮闘したが、マイアミの逆転負けをきっかけに潰れてしまった。 1つの要因ではレッドブルの強さを説明で…

角田、ドライバーの幅を広げるチャンスに——リカルド加入、デ・フリース更迭に思う

デ・フリースが開幕から10レースを終えたところで、アルファタウリから解雇。次戦ハンガリー以降はレッドブルのサードドライバーを務めていたリカルドが乗ることが決まった。 Twitterで散発的に書いてきた、今回のドライバー人事に対する感想をまとめてみた…

ホンダの26年「F1継続」と、アストンマーティン提携に寄せて

ホンダはアストンマーティン提携による26年のF1復帰を発表した ホンダは5月24日、2026年にF1へ参戦し、アストンマーティンにワークス待遇でパワーユニットを供給すると発表した。 報道では「F1復帰」と表記されることが多いが、現在の「レッドブル・ホンダRB…

早くも「ワンチーム」になったアロンソとアストンマーチン

表彰台でのアロンソ(中央) 開幕戦で最大の衝撃はアロンソの3位表彰台だった。上位が潰れたタナボタではなく、メルセデス勢2台とサインツをコース上で豪快にオーバーテイクしたうえでのポディウム登壇で、第2戦以降の表彰台も十分に期待できるレース内容だ…

際立つレッドブルの交渉力と、居場所を失ったホンダの未来

レッドブルの23年体制発表会。リア部分にホンダのロゴが描かれたマシンのバックで、レッドブルとフォードのジョイントを示すロゴが大々的に表示される皮肉な構図となった 「レッドブル、フォードと提携」——。2026年パワーユニット(PU)規定での衝撃的なレッ…

「偉大な挑戦者」 ベッテルの引退レースに、幸あれ。

引退レースに臨むベッテル。ヘルメットはチャリティオークションで募ったファン1000人の写真があしらわれている ついにベッテルが引退レースを迎える。「偉大な挑戦者」として戦い続けたベッテルにふさわしい舞台となるよう、心から願っている。 最強メルセ…

サーキットにいた「もうひとりの王者」――アップルのクック氏

(※本稿はアメリカGPの観戦記「格の違いを見せつけた王者たちと、林檎の国の主の来訪」の後半を分割し、いくつかいただいたご指摘を反映した投稿です) チェッカーフラッグを振るクック氏 F1アメリカGPにはフェルスタッペンら4人のほかに、もう1人意外な「王…

ポルシェとアウディの動向は?

ポルシェとアウディの社章 ポルシェは2026年のパワーユニット(PU)新規定に合わせたF1参入に向け、ウィリアムズと交渉を始めた模様だ。同じフォルクスワーゲン(VW)グループのアウディも、F1参戦の詳細を日本時間の本日(10月26日)17時に明らかにするとSN…

ずぶぬれでレース再開を待った2時間と、舞台裏での重機問題——日本GP現地レポ②

赤旗中断中に大型ビジョンに映し出されたコースの様子。ところどころに川がある 10月7~9日の日本GPを現地で観戦した。またも論評っぽくなってしまうが、観戦記第2弾は2時間に及ぶ赤旗中断と、コース上の作業用重機が危険を招いた問題について考えたい。 私…

またもレースディレクターが水を差したフェルスタッペン戴冠劇——日本GP現地レポ①

鈴鹿でチャンピオンを決めたフェルスタッペン 10月7~9日の日本GPを5年ぶりに現地で観戦した。金・土・日と天候がすべて異なり、特に日曜は雨のなかの赤旗中断で2時間以上も待たされる試練の1日だったが、最後にフェルスタッペンの戴冠劇が待っていた。 鈴鹿…

「HONDA」ロゴ復活!——レッドブル系4台に日本GP以降の全戦で

ロゴの配置イメージ(ホンダのニュースリリースより) ホンダは10月5日夕方、日本GPを含む今シーズン残り全戦でレッドブルとアルファタウリのマシンに「HONDA」のロゴを掲載すると発表した。 鈴鹿限定かと思ったら、年内いっぱいということに驚いた。うれし…

来る者と去る者の交差点:③PU編(前編)——影の主役のホンダ、鈴鹿の週末に動きは?

21年トルコGPでのレッドブルの特別カラー サマーブレイク以降の数々の発表を『来たる者と去り行く者』に焦点を当てて振り返る。第3回はパワーユニット(PU)編。F1は100%再生燃料によるハイブリッドV6ターボの新規定を2026年に導入することを決定し、規格策…

来る者と去る者の交差点:②ドライバー編——台風の目となったピアストリとデ・フリース

2023年のドライバーラインアップ。29日時点では、アルファロメオの2つ目のシートは周冠宇の残留で確定している サマーブレイク以降の数々の発表を『来たる者と去り行く者』に焦点を当てて振り返る。第2回はドライバー編。今年はピアストリとデ・フリースの2…

来る者と去る者の交差点:①サーキット編――モナコが残り、フランスが消え、ラスベガス登場

25年までの開催契約延長が決まったモナコGP 夏休みからイタリアGPにかけてはドライバー人事や来季カレンダーが発表されるのが恒例だが、今年は特に大きな発表が相次いだ。数々の発表から『来たる者と去り行く者』に焦点を当てて振り返りたい。第1回はサーキ…

もうひとつの「シューマッハの偉大さ」——2世代下と渡り合ったメルセデス時代

メルセデス時代のシューマッハ 2020年にF1が70周年を迎えた際に、私は「70年間の最強ドライバー」にミハエル・シューマッハを挙げた。7回のタイトル、通算91勝の成績はもちろん、フェラーリを立て直した功績は誰にもまねできないからだ。 しかし、私はシュー…

レース戦略で勝負する気概がないフェラーリ

話し込むフェラーリのビノット代表(右)と、サインツ(中)、ルクレール 2022年シーズン前半戦で作戦ミスによる取りこぼしが目立ったフェラーリ。『F1ラップタイム研究室』の前半戦レビューでは、「数字の本質的な読み方を理解しておらず、『レース屋』『勝…

F1チームのドライバー管理とリーダーシップ

チームがドライバーに求めるリーダーシップと、ドライバー管理の相関関係 (本記事は「ドライバーを自由にさせるが、脇が甘いエンストンのチーム」の続編です) アロンソ移籍とピアストリの契約問題を受けたアルピーヌの混乱を分析するにあたり、リーダーシ…

ドライバーを自由にさせるが、脇が甘いエンストンのチーム

アルピーヌを駆るアロンソ アロンソのアストンマーチン移籍の記事で、私は「トールマンの流れを汲み、エンストンに拠点を置くアルピーヌは、個性の強いドライバーがいてこそ輝くチーム」と書いた。 しかしながら、ピアストリの来季契約拒否に至る混乱を見て…

アルピーヌに激震、ピアストリが来季の搭乗拒否

現在アルピーヌのサードドライバーを務めるピアストリ アルピーヌF1チームに激震が続いている。8月1日にアロンソがアルピーヌ離脱とアストンマーチン移籍を発表。チームはその2日後、アロンソの後任として育成ドライバーのピアストリ起用を発表するが、ピア…

アロンソ、アストンマーチン移籍!

アロンソ移籍を伝えるF1公式Twitter ベッテルの引退発表からわずか4日後の8月1日、アロンソの来季アストンマーチン移籍が発表された。契約は複数年だという。ベッテル引退にも驚いたが、たった4日の移籍劇にはさらに驚いた。 ベッテル引退発表後の先週末…

ベッテル、引退を表明!

F1公式ツイッターでのベッテル引退を知らせるツイート ベッテルが7月28日、今季限りでのF1引退を表明した。自身が同日開設した公式Instagramで、ファンへ引退の考えを告げるビデオメッセージを公開した。 https://www.instagram.com/reel/CgjUE5xKW-B/?utm_s…